2025 年 51 巻 5 号 p. 147-153
本研究は,多価不飽和脂肪酸を産生するスラウストキトリッド(Aurantiochytrium sp. 8W株)を食品系未利用資源である,うどんゆで汁や廃調味料により培養する可能性を検討した.うどんゆで汁はpH 1条件下で加水分解処理することにより8W株の増殖に利用できることが確認され,ドコサヘキサエン酸(DHA)を19.8 mg/gにて産生した.しかしながら,加水分解したうどんゆで汁の溶存態窒素含有量(DN)が低いことは,8W株の増殖抑制因子となりえた.一方,DN濃度が高かっためん汁や味噌スープの希釈液も8W株の培養に利用できたが,特にめん汁でのDHA生産量はうどんゆで汁と同レベルであった.味噌スープのDN含有量は比較的高かったため,味噌スープを加水分解後のうどんゆで汁と混合して8W株の培養に供すると,DHA, エイコサペンタエン酸をそれぞれ150 mg/g, 5.1 mg/g生産でき,この組み合わせの有用性を確認できた.なお,加水分解したうどんゆで汁,めん汁や味噌スープの希釈液,さらに味噌スープと加水分解うどんゆで汁の混合液を用いて得られた8W株バイオマスのDHA含有量は,同バイオマスを家禽飼料の添加物として用いた際に家禽生産物である鶏卵や鶏肉のDHAを増加させるレベルに到達していた.