化学工学論文集
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粒度偏析および初期温度分布を考慮した焼結鉱冷却機の熱流動解析
箕浦 忠行坂本 雄二郎橋本 公男外山 茂樹
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1988 年 14 巻 5 号 p. 645-654

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抄録

粒度偏析, 充てん率分布および初期温度分布のある充てん層や移動層の粒子層-流体間熱交換性能を定量的に求めることを目的として, 内部流体偏流を考慮できる2次元充てん層モデルを作成した.このモデルを粒度偏析および初期温度分布など種々の不均一性を持つ焼結鉱層を取り扱う焼結鉱冷却機に適用した.
まず焼結鉱層の持つ各不均一因子が焼結鉱層-流体間熱交換性能にどの様な影響を持つか検討し, 次の結果を得た. (1) 乱数を用いて作った粒度偏析によりみかけの伝熱容量係数が, 調和平均径に等しい均一層に対して19%の大きさとなった. (2) 乱数を用いた初期温度分布により, 初期流体出口温度が大きくばらついた. (3) 粒度偏析および初期温度分布のある場合は, それぞれの相乗効果が表れた. (4) 小粒子の充てん率を大きく, 大粒子の充てん率を小さくすると, みかけの伝熱容量係数がさらに低下した.
次に焼結鉱冷却機のシミュレーション計算を行った結果, 粒度偏析および初期温度分布によるみかけの伝熱容量係数の低下で, 調和平均径に等しい一様層に対して, 実測値をかなりよく説明できた.実測値とシミュレーション結果の差異の解明のため, 充てん率分布および粒径と初期温度の関係などのデータの把握が挙げられるものの, この研究により不均一性を持つ充てん層や移動層の伝熱容量係数を定量的に評価する足がかりを得た.

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