化学工学論文集
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水性二相抽出法によるパパイヤラテックスからのパパインの分離・精製における夾雑タンパク質の影響
久保井 亮一王 衛紅駒沢 勲
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1990 年 16 巻 4 号 p. 772-779

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抄録
PEG (polyethylene glycol) /PK (potassium phosphate) 水性二相系によるパパイヤラテックスからのPapainの分離.精製における夾雑タンパク質の影響を検討した.活性Papainは疎水的であるが, 変性ないし活性の低下に伴って, 表面疎水性は減少し, 分配係数は低下する.LysozymeやChymopapainなどの親水的な夾雑タンパク質によってもたらされる分配系の疎水性の減少の効果は, Papainの分配特性にわずかに影響する.一方, PapainとChymopapainの間には両者の表面構造などの類似性にもとづく親和力が存在する.したがって, これらが共存すると, 疎水的な活性Papainの分配係数は顕著に低下し, 逆に親水的なChymopapainのそれは増大し, 分離の選択性は低下する.
合成色素のProcion Blue (PB) で修飾したPB-PEGはPapainに対して, PEG/PK系においてもPEG/Dex (dextran) 系と同程度のアフィニティを有する.これと同時に, 分離場の疎水性を増大させる複合効果を有し, Papainの分配係数を増加させ, 一方夾雑タンパク質のそれを減少させるため, 選択性を改善することができる.
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