抄録
テフロン製の中空糸一本からなる膜型バイオリアクターを用いて, トリオレインのリパーゼによる加水分解反応を行った.さらに, 本反応の加水分解速度を, 基質であるトリオレイン, 生成物であるオレイン酸の物質移動を考慮して, 定量的に検討した.
本反応系の生成物であるオレイン酸は高濃度領域で加水分解反応を阻害する.しかし, 一方の生成物であるグリセリンは, 全く反応を阻害しないことがわかった.
トリオレインの加水分解機構はリパーゼの界面吸着, ならびに, オレイン酸の阻害反応を考慮したMichaelis-Menten機構で表すことができた.界面における上記の加水分解速度およびトリオレインとオレイン酸の界面への物質移動速度を同時に考慮することによって実験結果を定量的に説明することができた.