核医学
Online ISSN : 2189-9932
ISSN-L : 2189-9932
原著
甲状腺疾患のアイソトープ内用療法の効果を高めるためのヨウ素制限―栄養士介入の意義について―
田村 美香中駄 邦博鶴原 領子河村 奈緒子川岸 志津古田 康杉江 広紀佐藤 寧櫻井 正之
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 53 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

要旨:①目的 ヨウ素制限食(LID)の指針となる小冊子を作成して患者に栄養指導を行い,その有用性について検討した.②方法 LID 前後で尿中ヨウ素濃度(UIC)を測定し,UIC 変化を調べ内用療法当日のUIC と頸部残存組織における放射性ヨウ素摂取率(RU)の関係について検討した.また,LID の実践に影響する患者側の臨床的,社会的因子について検討した.また,栄養指導とLIDの実践に対する患者の感想に対するアンケート調査を行った.③結果 LID 実施後のUIC の平均値はLID 前の15%に低下した.治療当日のUIC とRU の間には有意な負の相関が認められた.年齢・LID 前のUIC とLID の成功との間には有意な関連性が認められた.アンケート調査では,患者の84%で小冊子がLID を行うのに役に立った,80%が専用レトルト食品を使用せずに独力で調理できた,と回答した.④結論 LID はアブレーションを行う患者の体内ヨウ素量を減少させる.栄養士の介入は,LID の実施を容易にすると思われる.

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© 2016 日本核医学会

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