要旨:我が国では急激な甲状腺癌の増加やRI 内用療法施設の実稼働ベッド数の減少などから,RI内用療法施設への入院待ち待機時間が延長し地域格差が広がっており,その現状はがん対策推進基本計画がめざす「医療の均てん化」とはほど遠い状況にある.2015 年国会においてRI 内用療法に関連する質問主意書が提出され,これに対しRI 内用療法は重点的に取り組むべき課題であるとの政府答弁がなされており,今後の研究・診療の推進等が期待されている.本稿では医療経済的考察も含めて我が国におけるRI 内用療法の現状と問題点をとりまとめ,甲状腺癌の将来的な疾病状況を予測の上,これに対応可能なRI 内用療法環境を提示し,欧米諸国の現状との比較も交えて,我が国のRI 内用療法のあるべき将来像を見据えた提言を行う.