核医学
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総説
心筋血流シンチグラフィとfractional flow reserve ―心筋虚血評価に基づいた冠動脈心疾患の治療戦略
川﨑 友裕
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 53 巻 1 号 p. 45-52

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抄録

要旨:冠血行再建術の適応決定は従来冠動脈造影(CAG)による形態学的狭窄度による判断が中心であったが,近年は心筋血流イメージング(MPI)や冠血流予備比(FFR)などによる生理学的な虚血の評価が重視されるようになってきた.安定狭心症患者を対象としたCOURAGE 研究はpercutaneous coronary intervention(PCI)による予後改善効果は認められなかったが,治療前後でMPI による虚血の評価を施行した患者で予後との関連を検討したCOURAGE Nuclear substudy では,MPI の虚血改善が予後に関与することが示された.一方,FAME 研究やその後のFAME2 研究ではFFR ガイドのPCI の有用性が示されるなど,PCI 治療においてはFFR を用いた虚血評価の有用性が浸透してきた.MPI とFFR はいずれも虚血の評価法ではあるが虚血の異なる側面を捉えているため,その有用性については対立関係で論じられることもある.そこで本稿では両者の特徴について概説し,さらに両者を組み合わせた治療戦略について考察する.

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© 2016 日本核医学会

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