化学と教育
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我が国の大学化学入試問題の検討(<特集>日本の化学教育と世界の化学教育)
友田 修司原田 義也
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1988 年 36 巻 1 号 p. 9-12

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抄録

極端なまでに「合理性」を賦与された現在の入試制度の本質的改革はありうるのだろうか。入試体制が日本人の価値観に深く根ざしている以上, 何をやっても無駄なのではないだろうか。しかし, 輸入文化の時代から創造文化の時代へと転換を迫られ, 国際的リーダーシップを諸外国から望まれているとき, 我が国の化学の将来を担う人材は, 創造性, 独創性豊かな人材でなければならない。この方向での努力は, 我が国にとって焦眉の急である。小さな努力ではあるが, 大学人としてできることの一つとして, 入試問題を通じて化学教育を真剣に見直すことが考えられる。知識詰め込み型教育から, 個性と独創性を伸ばす教育へ向うためには, まず"頭脳を使って考える"入試問題の作成から始めねばならない。これは高校以下の化学教育に良い影響をもたらすばかりでなく, 大学教育の改善にも確実につながっていくであろう。

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© 1988 公益社団法人 日本化学会
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