化学と教育
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界面現象とその応用(化学への招待)
原 弘
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1989 年 37 巻 3 号 p. 278-281

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抄録

人間には温度感覚, 味覚, 臭覚等の感覚器があり, これらの摂受体は, 体の表面部分が外部環境や化学物質との接触により刺激を受けて感ずるのである。例えば舌に味物質が与えられると, 舌の味覚細胞に吸着し, そこに電位変化を生じる。発生したパルスは味神経を経て大脳に伝達され, 味を感知する。したがって, 舌の味に対する敏感性は舌の表面上の味細胞膜に発生する電位の大小に依存する。また, 固体内部の原子または分子は原子間力または分子間力で飽和されているのに対して, 固体表面の原子または分子は飽和されておらず, 内部に比べて不安定である。そのため周りの原子または分子を吸着し安定になろうとする。このように二つの相が接触している(境)界面では, 内部と異なる現象を生じている。以下に筆者の研究室で行った研究実験のうち, 表面状態によって生ずる種々な現象を述べてみる。

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© 1989 公益社団法人 日本化学会
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