化学と教育
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光学異性体のにおい : 情報伝達物質としてのにおい(<特集>身近にある天然物のはなし)
鶴田 治樹
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1991 年 39 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

嗅覚の科学は五感の中でも視覚や聴覚と比べると研究が遅れている領域といわれる。嗅覚が視覚や聴覚と決定的に異なる点は, 嗅覚の刺激は"化学物質"によっておこるという事実である。そのために研究が遅れたとも言えよう。人体の健康維持(ホメオスタシス)のための情報伝達のほとんどが, 化学物質によって行われることが明らかになりつつある現在, におい物質も生活面ではもちろん, 生理面, 心理面でも重要な情報伝達物質と考えることができる。この中で光学異性体のにおいの違いという現象も, 今後重要な研究話題を提供するものと十分考えられる。

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© 1991 公益社団法人 日本化学会
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