1991 年 39 巻 4 号 p. 415-419
おいしそうなビーフステーキも貴重品の松茸(まつたけ)も, 味や香りがそれらに備わっているわけではない。味や香りは人間が感じる感覚であって, 物質の側に存在するのは特定の物理, 化学的な性質である。味の研究においては, 人間がどう感じるかを捉えることがαにしてωの問題である。官能検査は機械では測定できない人間の感覚を人間を用いて測定する方法である。大勢の人間に一定の条件で試料を味わってもらい, その結果を統計的に解析する。ここでは官能検査で捉えた味の性質やその意義について述べる。