化学と教育
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「大綱化」のめざすもの(<特集>教養部が廃止されて)
川口 昭彦
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1995 年 43 巻 6 号 p. 354-359

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抄録

文部省は, 大学運営上の全般にわたる最低基準を「大学設置基準」という省令によって定め, それに基づいて1956年以来大学を指導してきた。ところが, 1991年に, この「基準」が大幅に緩和された。これが「大学設置基準の改正」すなわち「新大学設置基準」である。このような規制の緩和を称して「大綱化」という。文部省は, 従来の厳しい規制・管理を緩和しただけでなく, その規制と一体化していた手厚い保護の方針を捨てて, 競争原理の支配する世界に大学を放り込むことを実行したのである。規制から自由への転換は, 同時に, 保護から放任への方針転換でもあったわけである。「大綱化」は大学改革の引き金となって, カリキュラム改革, 組織改革さらに意識改革にまで及ぼうとしている。

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© 1995 公益社団法人 日本化学会
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