1996 年 44 巻 4 号 p. 253-256
リズムを生み出すベローソフ・ジャンボチンスキー反応(BZ反応)について, 公開実験法を紹介し, リズム反応のメカニズムについて新しい視点から解説を試みた。BZ反応は自触媒反応を含む周期的な酸化還元反応である。臭素原子が多様な酸化数を取り得るので, さまざまな臭素酸化物(反応中間体)が生成し, 生体の代謝系にも似たサイクリックな反応ネットワークが構成される。この反応ネットワークを平明に説明するために, 化学反応のモデル(FKNメカニズム)と数理モデル(オレゴネータ)をグラフ表示で対比させた。さらにグラフ表示を用いて, BZ反応が3つの反応中間体が関与する反応で開放系を構成していることを示した。リズム反応と開放系は, 生命現象と化学反応をつなぐ重要な概念である。