化学と教育
Online ISSN : 2424-1830
Print ISSN : 0386-2151
ISSN-L : 0386-2151
有機合成化学で活躍する酵素 : 環境にやさしい不斉触媒(タンパク質・酵素の化学 4)
太田 博道
著者情報
解説誌・一般情報誌 フリー

1999 年 47 巻 12 号 p. 832-835

詳細
抄録

酵素は生体内ではただ1つの化合物にしか作用しないという「鍵と鍵穴」説は広く信じられてきたが, 合成基質にも作用することがわかってきて, 有機化学の触媒として利用されている。とはいっても, 酵素は光学活性体であり, しかも特有の形をした活性部位に基質を取り込んで反応を触媒するので基質の立体配置や形を識別して, 選択的反応を行うことができる。類似の官能基の区別, ラセミ体の立体配置の識別, 光学活性体の創製等を環境調和型の温和な条件下で進行させる酵素反応の特徴をその選択性の視点から概観する。

著者関連情報
© 1999 公益社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top