2009 年 57 巻 2 号 p. 80-85
日本の鉱山は,1963年の貿易自由化,1985年以降の急激な円高による円換算での金属価格低下,資源の枯渇,などの理由により,1960〜1980年代にかけて閉山を余儀なくされ,現在では菱刈鉱山(金・銀)のみが生産活動を行っている。そのため,わが国は資源を海外に依存し,輸入した原料を国内製錬所で金属に還元して,広く産業界で利用されている。銅・鉄のような基礎産業に不可欠な金属は,中国を中心とする途上国の台頭とともに需要が急激に拡大し,価格の高騰や原料確保といった問題に直面しており,リサイクルも重要な製錬原料となっている。また,アルミ製錬には多量の電力を必要とするため電力コストが高い日本での電解製錬生産は自社発電所を保有する4社に限定されているが,電力消費が少ないリサイクル原料による二次製錬は広く行われている。