2016 年 64 巻 3 号 p. 130-131
我が国の漆喰は1500年近くの歴史をもつ水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建築材料である。住宅様式の変化からその需要が失われた漆喰は,近年,住まいの安全・安心に対する意識の関心の高まりやユーザーのライフスタイルや価値観の多様化から機能性・意匠性の両面から再び注目されている。消石灰と砂だけの西洋の漆喰に対し,我が国では天然由来の有機物を加えて作業性を向上させ,独自の左官技術と文化を構築するに至った。主成分となる消石灰の生成過程や漆喰の硬化,漆喰が住宅環境にもたらす安全性や機能性などについて紹介する。口絵9ページ参照。