日本東洋医学雑誌
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臨床報告
半夏厚朴湯の使用目標の検討
―肩甲間部痛・違和感について―
関矢 信康林 克美地野 充時笠原 裕司並木 隆雄巽 武司小暮 敏明柴原 直利平崎 能郎寺澤 捷年
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2007 年 58 巻 3 号 p. 481-485

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抄録

半夏厚朴湯は『金匱要略』を原典とする処方で咽中炙臠を主要な目標として胃症状, 神経症状, 咽喉付近の症状あるいは浮腫を表すものに応用されてきた。今回, 我々は肩甲間部の疼痛・凝りなどの違和感を訴える2症例に半夏厚朴湯エキスを投与し奏効した。この経験を基に気鬱・水毒の症候, 肩甲間部違和感を有し, 咽中炙臠を伴わない15症例に半夏厚朴湯を投与し検討を行った。その結果, 全ての症例において愁訴の軽減とともに肩甲間部の違和感も軽減あるいは消失を認めた。このことから咽中炙臠を伴わない症例であっても胃部の停滞感, 腹部膨満感, 胃内停水, ガスの滞留といった従来用いられている目標に加えて肩甲間部, 特に第4~7胸椎棘突起両傍の違和感や圧痛の有無を証明することで, さらに本方の応用範囲が広がりうるものと考えられる。

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© 2007 一般社団法人 日本東洋医学会
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