日本東洋医学雑誌
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臨床報告
柴胡加竜骨牡蛎湯服用により自律神経機能の変化と降圧効果が認められた高血圧症例
 
小田口 浩若杉 安希乃伊東 秀憲正田 久和蒲生 裕司渡辺 浩二星野 卓之及川 哲郎花輪 壽彦
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2008 年 59 巻 1 号 p. 53-61

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抄録

柴胡加竜骨牡蛎湯を服用することにより,自律神経機能の変化とともに降圧効果が得られた高血圧症の1例を経験したので報告する。
患者は46歳,男性で,軽症高血圧の他,交感神経緊張状態を疑わせる症状も呈していた。柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(ツムラ)を約3カ月間服用することで,外来血圧は収縮期,拡張期ともに著明に低下した。24時間自由行動下血圧測定(ABPM)では,24時間平均血圧の低下が認められたほか,脳血管障害の危険因子とされる早朝血圧上昇が改善した。起立検査では,服用前は立位負荷により交感神経優位に傾いた自律神経バランスが,服用後は逆に副交感神経優位に傾くという結果が認められた。脂質プロファイルの改善も認められた。
本症例の経過は,柴胡加竜骨牡蛎湯が自律神経機能に効果を及ぼすことで降圧効果を示す可能性を示唆しており,ストレス過多により交感神経緊張をきたした高血圧患者に対する有用性が期待される。

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© 2008 一般社団法人 日本東洋医学会
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