日本東洋医学雑誌
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臨床報告
四逆湯加減方により長期間安定した経過を維持しえた短腸症候群の1例
小川 恵子並木 隆雄関矢 信康笠原 裕司地野 充時中崎 允人永嶺 宏一寺澤 捷年秋葉 哲生
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2008 年 59 巻 4 号 p. 641-645

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抄録

我々は,短腸症候群を漢方治療で安定した状態に管理できた1例を経験した。症例は,74歳,女性。主訴は,重症下痢,腹満感,腹痛である。23歳で結核性腹膜炎と診断され,26歳時,腸閉塞により小腸・大腸部分切除術を受け,短腸症候群となった。60歳,漢方治療目的に,当院受診。茯苓四逆湯を投与したところ,腹痛・腹満・下痢ともに改善した。さらに,蜀椒を加味することにより,大建中湯の方意も併せ持つ方剤とした。茯苓四逆湯加蜀椒にて,経過を見ていたところ,64歳には,体重45kgと,術後初めて術前体重に戻った。短腸症候群は,予後の悪い疾患ではあるが,本症例は14年間漢方治療で安定した経過を得ることができた。

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© 2008 一般社団法人 日本東洋医学会
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