日本東洋医学雑誌
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原著
当研究所漢方外来における処方解析
高際 麻奈未金 成俊石野 尚吾花輪 壽彦
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2009 年 60 巻 1 号 p. 49-60

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抄録

漢方薬を用いた治療では患者の症状などにより証に合わせて処方が選択される。煎剤の場合は生薬を加味することにより,さらに患者の症状に適した処方を用いることが可能となる。臨床の現場では漢方治療に携わる医師および薬剤師が漢方薬の治療実態を全体的に把握し,処方運用を理解することが重要であるが,その情報は少ない。煎剤を中心とした治療を行っている当研究所漢方外来における2004年9月の繁用20処方の全処方に占める比率は60%以上であり,これらの処方について解析を行った。受診患者全体と処方毎の年代分布を比較したところ,大きく異なっており,また処方毎に年代分布の特徴がみられた。加味生薬としては黄耆(晋耆),よく苡仁,附子などが多く用いられていた。今回の報告は漢方薬の基本剤形でありながら,比較的情報の少ない煎剤について解析することにより得られた内容であり,漢方治療に携わる医師および薬剤師が処方を理解する上で,意義のある情報であると考えられた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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