日本東洋医学雑誌
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原著
難治性のBell麻痺およびHunt症候群に対する鍼治療効果の検討
—ENoG最低値0%でかつNETスケールアウトであった29例の検討—
蛯子 慶三丹波 さ織吉川 信菊池 尚子新井 寧子佐藤 弘
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2009 年 60 巻 3 号 p. 347-355

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抄録

難治性の末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の効果をretrospective studyにより検討した。対象は,1996年8月から2004年6月までの間に鍼治療を施行したBell麻痺およびHunt症候群患者のなかで,ENoG最低値0%でかつNETスケールアウトであった29例(Bell麻痺14例,Hunt症候群15例)である。29例の性別は男性21例,女性8例,年齢は44.3±12.8歳,罹病期間と40点法(柳原法)による麻痺スコアはそれぞれ43.2±23.9日,10.2±2.7点であった。効果判定には麻痺スコアと西本・村田らの考案した後遺症評価法の変法による後遺症スコアを用いた。発症6カ月以内に麻痺スコアが36点以上となり,明らかな後遺症を認めないものを完全治癒,それ以外のものを不完全治癒として評価した結果,完全治癒は5例(17.2%),不完全治癒は24例(82.8%)であった。ENoG最低値0%の場合,発症6カ月以内の治癒は見込めないとされており,結果からは鍼治療の有効性が示唆された。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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