日本東洋医学雑誌
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臨床報告
急性膵炎後の巨大仮性膵嚢胞に対し柴胡桂枝湯加附子が有効であった1症例
松井 龍吉小林 祥泰
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2009 年 60 巻 3 号 p. 379-384

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抄録

急性膵炎後の巨大仮性膵嚢胞に対し,柴胡桂枝湯加附子を投与したところ,諸症状の改善と,嚢胞の縮小が見られた症例を経験した。症例は71歳男性。脳梗塞後遺症,糖尿病などにて外来治療中,急性膵炎を合併し近医入院。保存的治療にて症状の軽快傾向が見られたが,その後も腹痛や食思不振が続くため,継続治療目的にて当院転院となる。腹部CT検査にて巨大仮性膵嚢胞を認め,その他の内服薬を変更することなく柴胡桂枝湯加附子を追加投与したところ諸症状が消失し,腹部CT検査においても嚢胞の縮小が認められた。柴胡桂枝湯加附子は熱性疾患後の心窩部の疼痛や食欲不振などを伴う場合の方剤であり,本症例においても嚢胞の縮小に何らかの作用を示したと考えられた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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