日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
便通を改善することで気管支喘息症状の軽快をみた3症例
木村 容子杵渕 彰稲木 一元佐藤 弘
著者情報
キーワード: 気管支喘息, , 大腸, 便通, 便秘
ジャーナル フリー

2009 年 60 巻 3 号 p. 391-395

詳細
抄録

気管支喘息に対する漢方治療では,咳や痰の性状や呼吸困難の程度などを指標として,通常,臓腑の立場からは「肺」へのアプローチをを選択することが多いと思われる。さらに,気管支喘息の増悪因子がある場合は,その要因を排除することも大切である。今回,便通異常を伴って気管支喘息の症状が悪化した患者において,便通の改善を図ったところ,患者の咳嗽や呼吸困難などの症状が軽快した3症例を経験したので報告した。漢方では「肺」と「大腸」は表裏関係をなすとされるが,どのような気管支喘息患者の場合に,便通調整を考慮するのが有効であるかを検討した報告は少ない。今回の3症例から,便通が安定している軽症の気管支喘息患者が,突然,気管支喘息症状の悪化とともに便通異常を認めた場合に,「肺」に直接作用する処方だけではなく,その表裏関係にある「大腸」の作用を整える治療をすることが有効であるのではないかと推測された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top