日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
清脾除湿飲加減で水疱性類天疱瘡が完全寛解した一症例
山中 章好古橋 健彦菅谷 亜弓梅川 宏司真鈴川 聡金子 幸夫
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 60 巻 4 号 p. 449-454

詳細
抄録

我々は,水疱性類天疱瘡の診断でステロイドの外用と内服剤などの標準的な治療を施されていたが寛解に至っていなかった患者に対し,医宗金鑑の清脾除湿飲加減を用いて完全寛解した一例を経験したので報告する。症例は,78才の女性で,2年前より背中に5mm~25mmの水疱が出現して近医を受診,水疱性類天疱瘡と診断され,ステロイドの外用と内服剤による治療を受けた。しかし,症状が改善と悪化を繰り返したので,湯液による漢方治療を希望して当院を受診した。患者の皮疹は四診に従って水疱性類天疱瘡の中の心火脾湿型と弁証し,清脾除湿飲加減を投与し,約10カ月の治療で皮疹は完全寛解した。以上より,水疱性類天疱瘡の中の心火脾湿型に対しては,医宗金鑑の清脾除湿飲加減が有効である可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top