日本東洋医学雑誌
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臨床報告
鍼灸治療が奏効した水球選手の2例
木村 真梨柴原 直利津田 昌樹永田 豊藤本 誠小尾 龍右引網 宏彰後藤 博三1嶋田 豊
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2009 年 60 巻 6 号 p. 623-628

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抄録

近年,スポーツ選手に対して鍼灸治療が施される機会が増加しているが,局所やトリガーポイントへの単刺法や通電治療を施したとする報告が多い。今回我々は随証治療による鍼灸治療が奏効した水球選手を2例経験したので報告する。症例1は16歳,男性。練習後に右拇指違和感を自覚し,練習時間延長とともに拇指痛が持続するようになり,左手のシビレ感も認めるようになったため,鍼灸治療を行った。原穴への接触鍼,背部兪穴への置鍼などを施術し,治療直後に症状が消失した。症例2は17歳,男性。腰痛を自覚し,その後に首の凝りも認めるようになったことから,鍼灸治療を行った。原穴への接触鍼,背部兪穴及び奇経への治療として、八宗穴への置鍼などを施術し,治療直後より症状が消失した。症例1,症例2ともに随証治療により症状が軽快し,強度な運動の継続も可能となったことから,スポーツ選手に対する証に随った鍼灸治療の有用性が示唆された。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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