日本東洋医学雑誌
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臨床報告
浮脈を呈する症例に対する苓甘姜味辛夏仁湯治験
関矢 信康平崎 能郎小川 恵子来村 昌紀橋本 すみれ奥見 裕邦木俣 有美子久永 明人寺澤 捷年
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2009 年 60 巻 6 号 p. 641-646

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抄録

苓甘姜味辛夏仁湯は『金匱要略』を原典とし,慢性の呼吸器,鼻疾患に用いられてきた処方であり,その脈状は沈弱と理解されることが多かった。我々は浮脈を呈するアレルギー性鼻炎の症例に苓甘姜味辛夏仁湯を投与して奏効した。その症例の経験に基づき,2007年1月から2008年3月までに当科を受診した患者のうち,同様の脈状を有し,鼻汁,鼻閉等の鼻症状あるいは喘鳴,息切れ等の呼吸器症状を呈していた16例に本方を4週間投与し,検討をおこなった。その結果,苓甘姜味辛夏仁湯は投与した全ての症例において有効であった。また特徴的な他覚所見として成人の有効例においては全例に心下痞鞕が認められ,胃部振水音あるいは心窩部の冷えを伴っていた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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