2010 年 61 巻 5 号 p. 746-753
日本の医療が曲がり角に来ている。出生率の低下,高齢者の急増と介護に関わる諸問題が噴出している。地域医療を立て直していくには,医師と国民の意識改革が望まれる。医師には最新の臨床能力だけでなく,日常生活の中に医療がどのような役割にあるかを理解してほしい。我々は地域医療を見直し,その価値と意義を認識すべきであろう。
超高齢社会においては,どのような立場の高齢者であろうと,介護の手が差し伸べられる地域社会を作って行く必要がある。科学技術の進歩に伴って,医療には大きな変化が起こりつつある。在宅医療にはハイテク化もみられる。病院医療も高度に進んだ内容の病院から一般の民間病院まで種々あるが,これらが連携して機能していける医療体制作りが望まれる。増加している女性医師がどのようにして生涯を通じて医療提供していけるかは,医師不足問題の突破口になるであろう。患者も医療提供側も共に生きて永らえていく時代である。国には大きな力を注いでくれることを期待する。