日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
原著
漢方薬による薬物性肝障害の症例検討
五野 由佳理小田口 浩早崎 知幸鈴木 邦彦及川 哲郎村主 明彦赤星 透花輪 壽彦
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 61 巻 6 号 p. 828-833

詳細
抄録

2000年から2009年の9年間に当研究所にて,漢方薬による薬物性肝障害と診断した21症例について検討した。平均年齢55.2 ± 13.4歳で,男性5例,女性16例であった。服用3カ月以内には17例(81.0%)が発症していた。発症時,無症状が11例(52.4%)であり,肝細胞障害型と混合型が共に9例(42.9%)であった。起因漢方薬としては19例と9割以上が黄芩を含む処方であった。DLST施行例は5例のみであり,方剤陽性は1例のみであった。治療としては,原因薬の中止のみで肝障害の軽減および肝機能の正常化を認めたのが18例(85.7%)で他2例は同処方去黄芩にて正常化を認めた。今後,特に黄芩を含む処方の場合に無症状でも,薬物性肝障害の早期発見のために3カ月以内の採血が必要と考える。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top