日本東洋医学雑誌
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臨床報告
帯状疱疹後の眼症状が釣藤散で劇的に改善した二症例
福田 悟南部 隆高橋 秀則黒木 佳奈子西山 比呂史三潴 忠道
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2010 年 61 巻 7 号 p. 912-916

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抄録

釣藤散により帯状疱疹による眼症状が劇的に改善した2症例を経験した。症例1は78歳女性で20年前の帯状疱疹による眼内異物感とひりひりする痛みを訴え,既往に高血圧があった。週1回の星状神経節ブロック,桂枝加朮附湯エキス,アミトリプチリンおよび後にメキシレチンで治療した。最初,神経ブロックの効果は劇的であったが,その効果は1カ月間で徐々に減少した。星状神経節ブロックと釣藤散の共通作用である頭蓋内血流の増大を鑑み,釣藤散エキスを投与した。症状は投与5日で減衰し,2.5カ月で全く消失した。症例2は65歳男性,11カ月前の帯状疱疹による眼内異物感を訴え,既往に高血圧があった。星状神経節ブロックを行ったがその効果は症例1と同じく一時的であった。釣藤散エキスを投与したところ,症状は2週間で軽減し2カ月でほぼ消失した。これらの経験から高血圧を既往に持ち帯状疱疹による眼症状を呈する患者には釣藤散が適していると思われる。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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