日本東洋医学雑誌
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臨床報告
ハンセン病の後遺症による難治性下肢神経障害性疼痛に対して五苓散が著効した一症例
田島 康介吉田 祐文松村 崇史
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キーワード: ハンセン病, 五苓散, 神経痛
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2010 年 61 巻 7 号 p. 917-919

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抄録

ハンセン病の後遺症による難治性下肢神経障害性疼痛に対し,漢方薬である五苓散(エキス剤)が著効した症例を経験したので報告する。【症例】85歳,男性。ハンセン病による右下肢神経痛に対しNSAIDsやその他の西洋薬が無効なため,ペンタゾシンを約5年もの間,連日投与されていた。漢方医学的には全身には水毒を認めなかったが,考察で論ずる理由から五苓散を投与したところ急速に症状の寛解が得られた。【考察】末梢神経では慢性炎症により浮腫と線維化が進行するとされる。(1)末梢神経の線維化により局所の血流障害がおこるとNa/K-ATPaseポンプが抑制されるため,細胞外K濃度が増加して神経の易興奮性を生じるが,五苓散には細胞外Kの調節作用が存在することが知られている。また,(2)本症例は漢方医学的には水毒を認めなかったが,神経の腫大化すなわち神経浮腫は局所の水毒と考えられる。この二つのメカニズムにより,五苓散が奏効したものと考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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