日本東洋医学雑誌
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臨床報告
自家製桂枝茯苓丸が著効したSchamberg病の1例
岡田 直己夏秋 優西本 隆
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2010 年 61 巻 7 号 p. 924-929

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抄録

Schamberg病は特発性色素性紫斑の一亜型で,原因不明であるが静脈性微小循環障害や免疫アレルギー的機序が関与しているとされる。今回我々は自家製桂枝茯苓丸がSchamberg病の皮疹に対して著効を示した症例を経験した。症例は55歳,男性。両下腿に点状の紫斑が出現し,その後褐色の皮疹が混在して融合傾向を示すため皮膚科を受診した。臨床所見より特発性色素性紫斑,そのうち斑状型であるSchamberg病と診断された。その漢方医学的病態を瘀血と考えて桂枝茯苓丸を選択し,より作用を効果的とするため自家製のものを用いた。同剤処方後下腿の皮疹は次第に軽快し,約4カ月で略治した。特発性色素性紫斑の漢方治療は,これまで温清飲の報告例が多い。代表的な駆瘀血剤である桂枝茯苓丸も,薬理作用面から血流障害と炎症を呈する病態に対して効果的であり,特発性色素性紫斑の治療に有用であるといえる。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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