日本東洋医学雑誌
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臨床報告
釣藤散が耳鳴の治療経過中に速やかな降圧効果を示した1症例
西田 清一郎佐藤 広康
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キーワード: 釣藤散, 耳鳴り, 高血圧, 高齢者
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2011 年 62 巻 5 号 p. 638-642

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抄録

症例は,耳鳴りを主訴に来院した70歳の男性。釣藤散の服用後,耳鳴りは,約10ヵ月で改善しそれまでにあった頭痛も改善した。しかし,釣藤散を減量後に,それまで見当たらなかった高血圧症が,みられるようになった。再度,釣藤散を通常量に戻したところ,投与開始日から,速やかに高血圧の改善を認めた。高齢者の耳鳴りを釣藤散はよく改善する可能性がある。また,本例から,釣藤散は,高血圧の程度が軽度で,深刻な合併症がない症例であれば,患者の随伴症状の治療とともに,投与でき,その降圧作用は,即時的に表れる可能性が示唆された。

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© 2011 一般社団法人 日本東洋医学会
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