日本東洋医学雑誌
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臨床報告
置鍼治療とリハビリテーションの併用が奏効した難治性Hunt症候群の1症例
蛯子 慶三菊池 尚子吉川 信丹波 さ織新井 寧子佐藤 弘
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2011 年 62 巻 5 号 p. 643-648

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抄録

症例は74歳,女性。X年7月3日に右Hunt症候群を発症し,入院にて星状神経節ブロック,アシクロビルの点滴などを行った。糖尿病があったことなどからステロイドは使用しなかった。退院後はビタミンB12等の服用や週に3回の星状神経節ブロックを継続しているが,麻痺の回復傾向はみられなかった。10月6日(発症後95日目)より置鍼治療とリハビリテーションを併用したところ,発症後95日目で4点であった麻痺スコアは早期に回復傾向を示し,発症後186日目で32点,発症後246日目には36点以上の正常範囲内となり,発症後1年で明らかな病的共同運動なども認められなかった。高齢,Hunt症候群,糖尿病,ステロイド未使用,麻痺スコア8点以下の完全麻痺であったこと,3ヵ月以上回復傾向がなかったことなどから難治性と考えられたが,結果からは置鍼治療とリハビリテーションの併用が奏効したものと思われた。

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© 2011 一般社団法人 日本東洋医学会
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