2012 年 63 巻 1 号 p. 49-56
管理栄養士養成課程の3年生に対して,漢方医学の教育介入を2日間に分けて計4コマ(1コマ90分)行い,介入前後および5ヵ月後に漢方医学に対する意識変化を調査した。「漢方医学に興味はありますか?」,「今後,栄養学科の授業に漢方医学を取り入れて欲しいと思いますか?」,「管理栄養士として仕事をするために漢方医学を学ぶことは役に立つと思いますか?」という3つの質問に対する回答のスコアは,介入によってそれぞれ好意的な方向へ有意に上昇し,その変化は5ヵ月後まで保たれた。また5ヵ月後において全体の約7割が「漢方医学を身近に感じるようになった」と回答した。一方,漢方医学に対する知識は介入前には乏しく,介入後も十分とは言えなかった。以上の結果から,管理栄養士養成課程の学生に対する漢方医学教育の導入は,漢方医学や漢方薬を身近に感じ,将来仕事をする上で前向きに受け入れる動機付けとなりうることが示唆された。