日本東洋医学雑誌
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東洋医学の広場
医学生の意識と漢方医学の習熟度
飯塚 徳男内田 耕一坂井田 功藤田 悠介浜本 義彦岡 正朗
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2012 年 63 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

医学生の意識がどのように漢方医学に対する習熟度と関連するのか解明するために,山口大学医学部医学科4年生94名に対し,講義終了後に筆記テストを施行し,同時に行ったアンケート調査を照合した。成績に男女差はなかった。学士編入で入学した医学生は一般入試の医学生に比し,有意に良い成績を修めた。漢方服用経験や漢方に対する関心の深さと成績は関連しなかったが,漢方服用後の効果を実感した,いわゆる成功体験のある医学生はそうでない医学生に比較し有意に好成績であった。以下,漢方の長所・短所を正確に理解している,学生時あるいは卒後の漢方臨床実習を希望している,医師になって漢方薬を処方したいと答えている医学生はそうでない医学生と比較し,有意に良い成績を修めた。多変量解析にて学士編入学生では6.9倍(オッズ比),漢方服用後の効果を実感した医学生は4.5倍(オッズ比),成績優良に関与することが判明した。以上より,医学生の漢方に対する習熟度を高めるには,単なる知識の詰め込み教育ではなく,成功体験や実習といった実体験こそが必要であると推察された。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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