日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
八味地黄丸にて高齢患者の自覚症状と CAVI (Cardio-Ankle Vascular Index) が改善した2症例
西田 清一郎佐藤 広康
著者情報
キーワード: 八味地黄丸, CAVI, 高齢者
ジャーナル フリー

2012 年 63 巻 2 号 p. 109-115

詳細
抄録

CAVI (Cardio-Ankle Vascular Index) は,四肢動脈の脈波測定によって,動脈の硬化度を非侵襲的に導くことができる生理検査指数である。八味地黄丸が,CAVI を改善した2例を経験したので報告する。
症例1:79歳女性。舌の痛み,口腔乾燥,下肢のしびれに,八味地黄丸を投与した。下肢のしびれと口腔乾燥は改善し,舌の痛みは半減した。治療前,右-CAVI ; 9.8,左-CAVI ; 9.7と高値だったが,1年後,それぞれ9.1と8.9まで改善した。
症例2:77歳女性。下肢の冷えとしびれ,頻尿に八味地黄丸を投与した。半年後,これらの症状は改善した。治療前の右-CAVI ; 10.2,左-CAVI ; 10.1であったが,2年後,それぞれ9.9と9.2まで改善した。
八味地黄丸は動脈硬化の指標であるCAVI を,高齢者において,改善させる可能性があることが示唆された。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top