日本東洋医学雑誌
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原著
鍼治療および生活習慣改善による認知機能の向上についてのランダム化比較試験
山崎 翼佐藤 万代矢野 忠櫻田 久美丹羽 文俊今西 二郎
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2012 年 63 巻 4 号 p. 229-237

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抄録

高齢社会に伴い,認知症予防が重要になってきている。本研究では,鍼治療および生活習慣改善指導による介入が認知機能を向上させるかどうか検討した。
物忘れが気になる者を対象に,生活習慣の改善指導を行う生活習慣改善群(20名)と,それに鍼治療・経皮的経穴通電刺激(TEAS)を併用する鍼治療併用群(20名)に分け,12週間の介入を行った。その結果,生活習慣改善群と鍼治療併用群を合わせた全体の介入前後の結果では,Mini Mental State Examination (MMSE),ウェクスラー記憶力テスト(WMS-R)のいくつかの項目,睡眠時間,アクティグラフィによる測定での睡眠効率で有意な上昇がみられた。2群を分けて解析すると,MMSE および睡眠効率では,鍼治療併用群でのみ有意差がみられた。また,T 細胞系とくにヘルパーT 細胞の減少,B 細胞の増加,NK 細胞の増加,NK 活性の増強が認められた。以上の結果から,生活習慣の改善に鍼治療を併用することで,認知機能の向上を促し,認知症の予防に資する可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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