日本東洋医学雑誌
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臨床報告
プレドニゾロン加療中の重症筋無力症患者の不眠症に対して柴胡加竜骨牡蠣湯が奏効した1例
中江 啓晴熊谷 由紀絵小菅 孝明
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2012 年 63 巻 4 号 p. 251-254

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抄録

【緒言】重症筋無力症ではベンゾジアゼピン系睡眠薬は中枢性の呼吸抑制のため使用禁忌となっており,不眠治療には難渋することが多い。【症例】患者は67歳女性,主訴は不眠。X 年12月に重症筋無力症を発症,プレドニゾロン大量内服,血漿交換療法を施行し寛解状態となった。X+2年1月から不眠症が出現した。X+2年4月から充実した腹力,胸脇苦満をもとに柴胡加竜骨牡蠣湯エキスを開始したところ,内服直後から快適に眠れるようになった。【考察】本例では柴胡加竜骨牡蠣湯の原典に記載されている煩驚,讝語などの精神症状を認めなかったが,腹診所見を重視して治療を行い不眠症が改善した。重症筋無力症患者の不眠症に対して柴胡加竜骨牡蠣湯が有効であったとする報告はなく,本症例は貴重と考えた。【結語】柴胡加竜骨牡蠣湯は重症筋無力症患者の不眠症に対する治療選択肢の一つとなりうる。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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