日本東洋医学雑誌
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臨床報告
大柴胡湯加芒硝の少量投与が奏効したるいそうを呈する呼吸器感染症の一例
岩永 淳田原 英一土倉 潤一郎大竹 実村井 政史矢野 博美犬塚 央木村 豪雄三潴 忠道
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2013 年 64 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

症例は食欲不振にて通院中の68歳女性である。体重が22kg まで低下し,1月21日低血糖発作およびウェルニッケ脳症にて緊急入院,その後呼吸不全にて人工呼吸器管理となった。3月24日,呼吸器感染症により発熱を認めた。抗生剤治療を開始し桂枝二越婢一湯を投与したが,26日再び発熱。1日投与量の1/10量の大承気湯を開始し解熱した。3月31日再び発熱。4月1日大柴胡湯加芒硝を1日投与量の1/10量投与し解熱。投与を継続し4月3日以降発熱を認めなかった。
柴胡加芒硝湯は,基本となる方剤が大柴胡湯なのか小柴胡湯であるのか,古来より議論されている。本症例では裏熱の存在を疑い,腹候にも従い陽明病に非常に近い少陽病に位置する大柴胡湯加芒硝を投与し効果を得た。またるいそうが著明で,平素は陰証あるいは虚証を呈していても,病態により陽証や実証に変化する場合があるが,体格や体力に応じて投与量は調節する必要があると思われた。

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© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
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