2013 年 64 巻 1 号 p. 27-31
腸管スピロヘータ症はBrachyspira 属によるまれな消化管感染症である。臨床症状は多彩で無症状から消化管出血,下痢,腹痛など多岐に及ぶ。メトロニダゾールなど抗菌療法を用いることが多いがその治療効果は確立されておらず,難治例も少なくない。この度,腸管スピロヘータ症に大建中湯エキスを用いた症例を経験したので,文献的な考察を交えて報告する。治療方法が確立していない腸管スピロヘータ症であるが,慢性下痢,腹部膨満感,腸管ガスの変化などを主症状とする場合は大建中湯エキスがよい選択肢かもしれない。