2013 年 64 巻 5 号 p. 269-271
9歳・女児。X 年6月20日に両側耳痛で発症。5日後から耳痛は軽減したが,次第に音を大きく感じるようになり。約1ヵ月後には様々な音が頭の中で反響する状態となった。この症状の悪化に伴い,頭痛,吐き気,易疲労が出現。食臭過敏となり,米飯の臭いが嫌で摂取できない。魚やカレーライスなども摂取できない。そこで,これを気逆の病態と考え,良枳湯(煎剤)を投与したところ,3週間後,煎剤は一日量の3分の1ほどしか服用できなかったが,聴覚過敏は半減。カレーライスが食べられた。そこで母親と分けあって服用するように指導。その4週間後には諸症状は半減。効果を実感したのであろうか,その後は煎剤1日量を一人で服用するようになった。治療開始後8週間で聴覚過敏,頭痛,嘔吐,易疲労は消失した。