日本東洋医学雑誌
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臨床報告
当帰建中湯が有効であった尋常性痤瘡の2例
近藤 亨子木村 容子佐藤 弘
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2014 年 65 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

標準的な西洋医学的治療で改善しない痤瘡の症例に対して漢方治療を併用することで改善する場合がある。今回,当帰建中湯が有効であった尋常性痤瘡の2症例を経験したので報告する。症例1は32歳女性で軽症の痤瘡,軟便傾向で下痢しやすく,月経困難症があった。腹診所見では腹部軟弱で臍上悸を認めた。当帰建中湯を投与し便通がよくなるとともに痤瘡も改善した。症例2は26歳女性で中等症の痤瘡があり,軟便傾向で月経困難症があった。腹診所見では胸脇苦満,腹皮拘急を認めた。加味逍遙散,当帰芍薬散で便通異常を来したため,当帰建中湯を投与し痤瘡,便通異常ともに改善した。以上より当帰建中湯は軽症から中等症の痤瘡の症例で便通異常があり,腹診所見では腹部軟弱または腹皮拘急のみられる場合に有効であるのではないかと考えた。2例とも後から薏苡仁エキスを追加し,皮疹のさらなる改善を認めた。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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