日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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論説
敦煌本に基づく『本草経集注』の権衡と方寸匕の量についての検討
笛木 司松岡 尚則牧野 利明並木 隆雄別府 正志山口 秀敏中田 英之頼 建守萩原 圭祐田中 耕一郎長坂 和彦須永 隆夫李 宜融岡田 研吉岩井 祐泉牧角 和宏
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2014 年 65 巻 1 号 p. 38-45

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抄録

『傷寒論』成立時代の権衡の考証を目的に,近接した年代に著された『本草経集注』「序録」の権衡を検討した。同書の度量衡は,権衡の記述に混乱が見られ,また度・量についての検証がこれまで十分に行われていなかった。そこで敦煌本『本草経集注』の「1方寸匕に等しい容積の薬升」の記述に着目,同記述が『漢書』「律暦志」の度に従っていることを仮定して計算を行い,1方寸匕の容量として5.07cm3の値を得た。得られた値を生薬の実測数値を用いて検証し,仮定を肯定する結果を得た。得られた1方寸匕の容量から換算した1合の値は『漢書』「律暦志」のそれと一致しており,『本草経集注』「序録」の度量が『漢書』「律暦志」に従っていることが確認された。次いで同書中に記述された蜂蜜と豚脂の密度について実測と計算値の比較を行い,『本草経集注』「序録」中の薬物の記述の権衡は『漢書』「律暦志」に従っていることが明らかになった。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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