2014 年 65 巻 3 号 p. 197-201
先に筆者は『傷寒論』柴胡桂枝湯の条文にある「心下支結」が,中脘の圧痛を示唆するとの仮説を呈示したが,これを確かなものとするために,①頭痛,②心窩部痛,頭痛,③下痢と軟便,④腸管ベーチェットに伴う摂食不良を各々主訴とする患者において,中脘の圧痛を唯一の腹候の根拠として柴胡桂枝湯を投与し,良好な結果を得た。中脘の圧痛を認め,虚寒証ではなく,上熱下寒の傾向のあるものにおいて,この圧痛点が柴胡桂枝湯証と密接に関連する兆候であることが強く示唆された。