日本東洋医学雑誌
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臨床報告
羗活勝湿湯の使用目標の検討
三澤 広貴野上 達也引網 宏彰荒井 紗由梨北原 英幸海老澤 茂渡り 英俊藤本 誠柴原 直利嶋田 豊
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2014 年 65 巻 4 号 p. 293-297

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抄録

羗活勝湿湯は振り返ることのできないほどの頸部痛に用いられる処方である。我々が同方を投与した6例におい て,有効例が3例,無効例が3例であった。有効例と無効例の漢方医学的所見について検討したところ,有効例では虚証で臍上悸と歯痕を認めた。また自覚症状について検討したところ,有効例では「腰のまわりが寒いことがある」,「冷房はきらいである」「冬は電気毛布などが必要」という症候が多く認められ,「皮膚がカサカサになる」,「関節に水がたまることがある」,「膝が痛んで正座しにくい」といった症候はみられなかった。これらは羗活勝湿湯を用いる上での使用目標となる可能性があり,特に臍上悸は本検討で初めて見出した有用な所見と考えられる。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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