2015 年 66 巻 1 号 p. 54-60
全身性強皮症と原発性胆汁性肝硬変を合併した症例に,黄連解毒湯(万病回春)と赤丸料の併用が奏効した一例を報告する。症例は68歳の女性。20年前に原発性胆汁性肝硬変,17年前に全身性強皮症と診断された。皮膚瘙痒感と皮膚硬化に対して西洋医学的治療を受けたが改善せず,漢方治療を希望し当科を受診した。黄連解毒湯(万病回春)を処方したところ,5日後までに瘙痒感は消失した。また,強い冷えに対して赤丸料を併用したところ,皮膚の軟化を認めるようになった。本症例は陽証と陰証の併病であったと考えられた。