日本東洋医学雑誌
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臨床報告
鍼治療による卵胞発育の改善効果:3症例の検討
磯部 哲也
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2015 年 66 巻 2 号 p. 107-111

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抄録

多のう胞性卵巣症候群(Polycystic Ovary Syndrome : PCOS)は日常診療において月経不順や不妊を訴えて受診する患者の多くが有する病態である。著者はPCOS 症例に対して1週間に1回の頻度で独自の鍼治療を施して約60%の有効率を認めたが,1週間に1回の施術では卵胞の発育を認めなかった3症例に対して1週間に2回の施術を行なってその有効性を検討した。3症例ともに施術なしでは卵胞の発育を認めず,1週間に2回の頻度で施術することによって3症例の全施術周期のうち86.7%(13/15)で卵胞の発育が認められた。約4日おきに平均4~5回の施術をすることによって平均月経周期18.7日目で卵胞が成熟することがわかった。今回,週一回から週二回のパターン取穴浅刺鍼療法に変更して3週間以内に卵胞の発育を認めたPCOS の3症例を報告した。

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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学会
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