日本東洋医学雑誌
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臨床報告
再発卵巣がんにおける GEM 単剤投与に伴う血小板減少症に対し加味帰脾湯が有効であった1例
徳毛 敬三
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2015 年 66 巻 4 号 p. 321-326

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抄録

再発卵巣がん症例に対し,gemcitabine(GEM)単剤投与の有効性が確認されている。骨髄毒性につき,血小板減少症といった有害事象があるが,輸血療法以外有効な治療法はない。加味帰脾湯は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の血小板減少に対し約20%に有効という報告があるが,GEM 投与後の血小板減少に対しての有効性についての報告はない。今回grade2の血小板減少に対し,加味帰脾湯を併用した結果,血小板減少が低下し,さらに化学療法に対する意識の変容に対しても有効であった症例を経験したので報告する。症例59歳。GEM 投与1コース目に血小板減少を来し,8コース目まで適宜休薬・減量した。9コース目に加味帰脾湯投与した所,血小板減少低下した。現在17コース目継続投与中で,stable disease(SD)の状態である。加味帰脾湯はGEM 投与後の血小板減少と精神症状を改善できる可能性が示唆された。

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