日本東洋医学雑誌
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臨床報告
半夏白朮天麻湯がオピオイドの副作用軽減に有用であった慢性痛の2症例の経験
濱口 眞輔恵川 宏敏小澤 継史沼田 祐貴寺島 哲二木村 嘉之北島 敏光
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2015 年 66 巻 4 号 p. 327-330

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抄録

慢性痛に対する薬物療法にオピオイドを用いたが,副作用のために治療継続が困難となった慢性痛患者の2症例を経験した。症例1は腰部脊柱管狭窄症による腰下肢痛と眩暈,食欲不振などを主訴とした88歳女性であり,弱オピオイドを処方したが嘔気が強いために中止した。治療のために全身状態の改善が必要と考え,半夏白朮天麻湯を投与した結果,全身状態が改善して痛みの治療を行えた。症例2は膠原病と線維筋痛症のために左頚部の痛み,耳から口にかけての突っ張り感と頭重感を訴えた62歳女性であり,免疫抑制剤と強オピオイド貼付剤で痛みは半減したが,消化器症状と眩暈がみられたため,半夏白朮天麻湯を投与した結果,全身状態が改善して痛みの治療を継続できた。オピオイドによる治療には悪心,嘔吐,食欲低下や眩暈などの副作用が多くみられるため,半夏白朮天麻湯の併用はオピオイドによる副作用軽減の有益な手段になりえると考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学会
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