日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
舌痛症に対する黄連解毒湯・茯苓飲・香蘇散エキス併用の使用経験
石田 和之
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 67 巻 1 号 p. 54-60

詳細
抄録

難治性舌痛症に対して,黄連解毒湯・茯苓飲・香蘇散のエキス剤併用療法(黄茯香併用とする)が奏効した一例を経験した。この経験を参考に新たな症例を治療し,それらの臨床的特徴について検討した。
61歳の男性。3年位前から舌痛があり,4ヵ月前から心療内科へ通院したが改善しなかった。当科で五苓散や大柴胡湯など種々の方剤を投与したが効果なく,黄連解毒湯・二陳湯・香蘇散の3剤併用に転方後に舌痛が半減した。 さらに二陳湯を茯苓飲へ変更後に舌痛は消失した。
同処方で3例を治療した結果,2例は約2週間で舌痛の改善を認めた。残る1例は黄茯香併用やその他数種類の方剤が無効で,ポラプレジンクによる亜鉛補給が有効であった。有効症例の特徴は,舌痛に加え,うつ傾向と消化器症状を呈していた。
清熱解鬱湯をエキス剤で代用する意図で黄茯香併用を投与し,舌痛症4例中3例に有効であった。黄茯香併用は舌痛症に応用可能と考えられた。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top